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不安。


一説によると 私たちは進化論的に マイナス思考をする傾向があるらしい。厳しい条件を乗り越えて生き延びるためには まず良くないことが起きる可能性を考えて 身を守る必要があったから。(日本経済新聞 「日曜に考える」2017.1.22)

はるか昔、私たちの祖先は 食うか 食われるかの日々を生きていた。今は 会社どころか 業種や職種レベルで吹っ飛ぶ時代、国にも企業にも保障(証)を期待できない時代に突入したと感じるが、そう考えてみると 今も昔も本質的には そんなに変わらない気がする。

もし 違いがあるとすれば「生きるためにどうするか」に加え、言語、社会、文化の誕生・発展によって 「どう生きるか」というお題が 現代ではプラスされている点が、一例としてあげられるだろうか。

・・・

「こないだ初めて 首都高 ドライブしてみたんだけど…」竹芝桟橋のベンチで コンビニで買った安ワインを呑み交わしていると、友人のRが こんな話をしてくれた。

「… 運転するのも 久しぶりでさー 結構 不安だったんだよ。特にカーブ。最初は『うまく曲がろう』と意識して めちゃめちゃ焦ったんだけど、予習しといた地図 思い返して『目的地(どこ行きたいんだっけ?)』」をイメージしたら スムーズに曲がれたんだよねー」

確かに どうにも 塞ぎ込んでしまうときは 「よし、とりあえず あそこに 向かおう」という 仮の目的地さえないまま 目先の障害物に 四苦八苦してしまっている気がする。

不安は 「生きろ」っていうサインであったり「自分が思い描いた地図を ちょっと思い出してみよう」っていう お知らせなのかな。だとしたら なかなか 優れたナビゲーションである。


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